失明原因第1位 糖尿病網膜症

みなさんこんにちは(^^)/ 北習志野えんどう内科 院長のえんどうです。
今日のテーマは失明原因第1位である「糖尿病網膜症」のお話しです。
糖尿病は、合併症さえおこらなければぜんっぜん怖くない病気です。
しかし、合併症には失明や人工透析など、生きていくにあたって致命的な状態ばかりです
今日は「眼」についてお話をしていきますので、バッチリ学んでいきましょう。
近年増え続けている糖尿病。
国内の患者数は約1,000万人、予備軍含めると、約2,000万人いるといわれています。
この記事を読んでいただいているあなたは
糖尿病は合併症が怖い病気という話は聞いたことがあるかと思います。
合併症はとくに腎臓や神経、そして眼におこることが多く、
これらは糖尿病の3大合併症といわれます。
その中でも、今回は「眼」についてのお話です。
ではいってみましょう。

日本における失明原因第1位。
いったいどれくらいの人が糖尿病で視力を失っているのでしょうか?
その数なんと・・・3000人!!
毎年3000人もの人が、糖尿病の合併症である網膜症で視力を失っているのです。
網膜症の前に、網膜の説明からです。
眼の奥には網膜という部位があり、これはカメラでいうとフィルムにあたります。
つまり網膜は、瞳から入った「光の明暗」や「色を識別する」役割をもっています。
言いかえると「ものを見るために必要な部位」です。
網膜症とは、なんらかの理由でこの網膜が傷められ、
「ものが見えなくなってしまう状態」のことを指します。
ものが見えなくなるということは、
あなたの大切な人の顔を見ることもできなくなってしまうし
町中をふつうに歩くことさえもできなくなってしまいます。
考えただけでもゾクッとしてしまいますよね。
この恐ろしい網膜症が起こる原因の第1位が「糖尿病」なのです。
糖尿病患者さんの約2~3人に1人に、網膜症が発症しています。
では、いったいどんな人に糖尿病網膜症が起こりやすいのでしょうか?
糖尿病網膜症の発症リスクを高めるのは、「糖尿病歴」と「HbA1c」です。
具体的にいうと・・・
糖尿病歴が10年以上、
HbA1cが7.0%以上だと、
網膜症の発症リスクがドカッと高くなってしまいます。
では、なぜ糖尿病で失明がおこってしまうのか。
ここで前回のお話し「合併症理解のために覚えてほしいたったひとつの公式」を思い出してください。
糖尿病=血管の病気
というお話をさせていただきましたね。
ここでもこの公式があてはまります。
(※詳しくは「合併症理解のために覚えてほしいたったひとつの公式」を読んで下さい)
わたしたちの「眼」にも血管は当然あるのですが、
糖尿病になってコントロールの悪いままだと
眼の血管がボロボロになって、やがては¨ブシュっ¨と破れてしまうのです。
そうなると、眼の中は血の海と化してしまいます(考えただけでもおそろしい・・・)
眼に酸素や栄養が送れなくなるうえに、出血をおこして血の海状態・・・
やがては「失明」につながってしまうのです。
失明につながってしまう前に、いくつかの前兆がありますので、おさえておきましょう。
糖尿病発症後、数年から10年くらいで糖尿病網膜症を発症しますが、
じつは、初期には症状がほとんどありません。
自覚症状を感じたときには、網膜症がかなり進行していることがほとんどなのです。
では、初期を過ぎるとどんな症状がではじめるのでしょうか。
⇒答えを先にいってしまうと「飛蚊症」とよばれる状態です
どのような状態かというと、
視野の中に煙の煤のようなものや、蚊のような小さな虫が飛んでいるように見える状態を表します。
また、網膜で出血が起こると、視野に黒いカーテンがかかったような感じがします。
しかし、人によっては飛蚊症の前兆なしで「突然の視力低下」として発症することがあります。
網膜の中心に、ものを見るのに最も重要な「黄斑」という部分があります。
この部分がやられてしまうと、急激な視力低下をもたらします。
また網膜症がすすむと網膜剥離を起こすこともあり、この場合も視力がいきなり低下します。
では、どのようにしてこの恐ろしい「糖尿病網膜症」を防げるのか・・
糖尿病のコントロールを良好にするのは当たり前なのですが、
具体的にどれくらいだとコントロール良好なの? って思われますよね。
答えは・・・「HbA1cを7.0%未満」にすることです。
この数値は、糖尿病網膜症だけでなく、
糖尿病におけるあらゆる合併症の進展予防の数値でもあるので
是非とも覚えておいていただけたらと思います。
そして、糖尿病と診断された時点から、眼科での定期検診を受けることが大切です。
糖尿病と同じように、糖尿病網膜症も初期にはほとんど自覚症状がありません。
「見えるからだいじょうぶ」
「視力が落ちていないからまだ平気だろう」
と油断していると、いつか取り返しのつかないことになってしまいます。
初期の糖尿病網膜症の段階を過ぎると
治療しても網膜の状態は元に戻らないことがほとんどです。
「現状を維持すること」、「進行を止めること」が目標となります。
また、糖尿病網膜症を進行させる要因として、
糖尿病だけでなく、脂質異常症や高血圧の関与も指摘されています。
つまり、これらの生活習慣病全般について、予防に努めることが大切なのです。
はい。
本日の話は以上となります。
いかがでしたでしょうか?
失明原因第1位「糖尿病網膜症」についてのお話をさせていただきました。
次回は、糖尿病3大合併症の続きである
「腎臓の障害」について書かせていただきたいと思います
宜しくお願い致します!!
北習志野えんどう内科 院長 えんどう