透析原因第1位 糖尿病腎症
みなさんこんにちは。 北習志野えんどう内科 院長のえんどうです。
今日のテーマは透析原因第1位である「糖尿病腎症」のお話しです。
糖尿病腎症は少しややこしいので、数回に分けてお話をしていきますね。
本日は、腎臓の働きや、糖尿病でなぜ透析になってしまうかなど、
かみ砕いてお話を進めていくので、バッチリ学んでいきましょう!(^^)!
近年爆発的に増え続けている糖尿病。
国内の患者数は約1,000万人、予備軍含めると、約2,000万人いるといわれています。
この記事を読んでいただいているあなたは
糖尿病は合併症が怖い病気という話は聞いたことがあるかと思います。
合併症はとくに眼(前回の記事を参照ください)や神経、そして「腎臓」におこることが多く、
これらは糖尿病の3大合併症といわれます。
その中でも、今回は「腎臓」についてのお話です。
日本における透析原因第1位。医療費は一人当たり500万円という超高額医療。
いったいどれくらいの人が糖尿病が原因で透析になってしまうのでしょうか?
その数なんと・・・
16000人!!
16000人もの人が、
毎年毎年、糖尿病が原因で透析になってしまっているのです。
「透析」という概念を理解するために、まずは腎臓のお話からしていきましょう。
腎臓の働きで覚えてほしいのは5つだけ!
1.ろ過
腎臓の最も大切な働きです。透析の概念はこの働きで説明できます。
腎臓最大の働きは、体の中にたまった老廃物(毒素)や余分な水分を
おしっことして外へ出して、体内ををきれいにすることです。
これを「ろ過」といいます
2.血圧を適切にコントロール
3.ビタミンDを活性化して、カルシウムの吸収を促進⇒骨を丈夫にする
4.造血ホルモンをつくって貧血を防ぐ働きがある
5.体内の水分や電解質のバランスを維持する
わたしたちが生きていくために、たくさんの働きをしてくれている腎臓ですが
透析は腎臓最大の働きである「ろ過」が深く関係しています。
ちょっと想像してみてほしいんですが、
もしも腎臓が正常にろ過の働きができなくなってしまったら・・・
わたしたちのカラダはどうなってしまうのでしょうか?
老廃物(毒素)や余分な水分がおしっことして体外に出せず体内にたまってしまった結果、
体内は毒素がたまった状態かつ、余分な水分でぶよぶよの状態(いわゆるむくみ)
になってしまいます。
やがて毒素や水分は全身をむしばみ、余分な水分は心臓や肺にまで入りこみ
いわゆる「溺死」状態にしてしまいます。
生命活動の源である心臓や肺が「溺死」状態になることは、すなわち「死」につながります。
そうなる前に行うのが「透析」という治療です。
かみ砕いて言うと透析療法とは、人工的に血液中の余分な水分や老廃物を取り除き、
血液をきれいにする働きを腎臓に代わって行う治療法です。
透析療法には、機械に血液を通してきれいにする「血液透析」と、
患者さんご自身のお腹の膜(腹膜)を利用して血液をきれいにする
「腹膜透析」の2つに大きく分けられます。
血液透析をおこなっている患者さんの通院はだいたい週3回
治療時間は1回あたり4〜5時間と正直かなり長いです。
これを、雨の日も雪の日も、一生続けていかなければならないというのが
透析治療最大の悩みどころでしょう。
この透析の原因第1位こそが「糖尿病」なのです。
では、なぜ糖尿病で透析になるほど腎臓が悪くなってしまうのでしょうか?
ここでもあの公式を思い出してください。
糖尿病専門サイトの記事を欠かさず読んでいただいているあなたは覚えていますね。
糖尿病=血管の病気=血管病
(※詳しくは「合併症理解のために覚えてほしいたったひとつの公式」を読んで下さい)
です。
現在透析を受けている人の数は全国で32万人、
そのうち約44%が糖尿病性腎症によるもので、透析導入原因のトップを占めています。
腎臓の構造についての説明です。
腎臓は、糸球体と呼ばれる細~い血管の塊が集まった集合組織です。
この糸球体が、左右の腎臓のなかになんと!
100万個ずつあり腎臓がつくられています。
つまり、この糸球体という血管の一つひとつが、血液中の老廃物や余分な水分がろ過してくれているのです。
しかし、血糖値が慢性的に高い状態がず~っと続くとどうなってしまうでしょうか。
糸球体の血管の通り道がドロドロ血液で狭くなり、
結果、十分に老廃物をろ過できなくなってしまうのです。
糖尿病の罹患後10~15年以上経過してから発症することが多いです。
糖尿病患者全体のおよそ40%(約500万人)に、糖尿病腎症があるといわれています。
では、どのようにしてこの恐ろしい「糖尿病腎症」を防げるのか・・
糖尿病のコントロールを良好にするのは当たり前なのですが、
具体的にどれくらいだとコントロール良好なの?
と思われますよね。
網膜症のお話を読んでいただいたあなたは覚えていますね?
答えは・・・
「HbA1cを7.0%未満」にすることです。
糖尿病におけるあらゆる合併症の進展予防の数値でもあるので
是非とも覚えておいていただけたらと思います。
今回は、糖尿病が透析の原因第1位であること、
そしてその原因を理解していただくため、腎臓の働きなどのお話をさせていただきました。
次回のお話で、
透析に近づいているカラダの「危険なサイン」や
その危険なサインに発症前に気づくことのできる「検査方法」などについて
お話をしていきたいと思います。
よろしくお願い致します。
北習志野えんどう内科 院長 えんどう